童話「ブスと野獣」~銀座新橋有楽町日比谷心療内科マンガ

童話「ブスと野獣」~銀座新橋有楽町日比谷心療内科マンガ

 

解説

心理学では「条件つきのストローク」と「無条件のストローク」という考え方があります。

ここで「ストローク」とは、人間から人間への語りかけや行動全般のこと。
あいていに言えば「愛」とも言えます。

すなわち「条件付きのストローク」と言うのは、
「あなたのことがかっこいいから好き」だとか
「お金を持っているから好き」だとか
「色々と良いコトをしてくれるから愛してる」など
条件がついた前提での愛のことを指します。

まぁ、世界にあふれるたいていの愛はこの形だと思います。
あなたも、目の前の恋人が100歳になっても愛を注げるかは断定できないでしょうし、ご主人が無一文になり、まったく働かなくなってしまっても変わらず相手の奉仕できるかは分からないはずです。

ここでもう一つが
「無条件のストローク」。言ってみれば「無条件の愛」です。

これは「あなたがどんな状態であっても好き」とか「あなたがどんなことをしても愛している」というような、何の条件も存在しない愛です。

これはまさに、親から子にたいする愛が一番近いかもしれません。
親は、子供がどんなことになっても、見捨てることは決してありません。
どんな大失敗をしても、たとえ犯罪を犯しても、そんなことぐらいで愛するのをやめる親はいません。
無条件の愛とは、そのレベルの愛のこと。
そしていわゆる「真実の愛」とは、まさにそれと同じほどの愛ではないでしょうか。

さてここで、「美女と野獣」という童話がありますね。映画・アニメ・ミュージカルなどにもなった、有名な童話です。

野獣が美女と愛を結ぶ…。そう、美女は相手が野獣であったとしても、愛を注ぐことができた…! これこそが真実の愛…!

素晴らしいですね!

しかし、ちょっと待てと。
なぜ女は「美女」でなくてはいけないのか、と。

美女から野獣への愛は、確かに本物でしょう。無条件の、真実の愛でしょう。

しかし野獣から美女への愛は、ちょっと違うんじゃないかと。
そもそも美女だから愛してるんじゃないかと。ブスだったらそこまで愛を注げたのかと。

それ以前に、そのあと野獣は「王子様」になってますからね。
美女からしたら、正直そんなのはどうでもいいじゃないですか。無条件なのですから。そんなオマケつけたら、もしかして美女は「野獣が王子様っぽいから愛してたのでは?」なんて余計な疑惑も生まれるじゃないですか。

何にせよ…。
美女だから、王子様だから、イケメンだから、お金持ちだからそんな事情が介在しない状況こそが真実の愛。
そう考えると、「美女と野獣」は「ブスと野獣」になるべきであり、何より「王子様」という設定すらもなくなり、「ブスと野獣(一般人)」となるのが正しい姿なのではないかと思うのです。はい。

とはいえ、この童話の人気の理由は「真実の愛」とかよりも以前に、
「ロマンチックな恋愛」であったり、
「俺も美女と恋愛したい」という男の欲求や
「私も王子様と結ばれたい」という女の欲望にマッチする部分があったからではないか、と思います。

まぁ、はい。完全に無条件の愛というのを注ぐというのは、やっぱり難しいことではありますよね。

何にせよ「●●だから好き」ではなく「何であっても愛してる」とか、相手にたいしてソフトな目を向けてあげると、あなたはさらに愛されるかもしれません。

無難に解説を終えつつ、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)

ゆうメンタルクリニック銀座新橋院は、2019年4月1日から開院です!
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