「9人の翻訳家」に学ぶ言語イジメの話。
こんにちは。ゆうきゆうです。
さて最近、
というミステリー映画を見ました。
フランスの映画です。
フランスに、世界的に有名なベストセラー作家がいました。
彼は大人気シリーズの小説を書いており、その三冊目である最新作を、全世界同時発売しようとしました。
よって出版社は、世界各国から、9人の翻訳家を集めてきました。
翻訳家は、イギリス人、スペイン人、ドイツ人、中国人など様々な国の人がいます。
日本人はいませんでしたが、そのあたりは細かい話なのかもしれません。
そして9人の翻訳家を、「地下室」に閉じ込め、スマホやPCなどを預かり、情報が漏れないようにして翻訳させました。
これは「原稿の情報漏洩」を防ぐためでした。
しかし! なぜか原稿が次々とネットに漏れていきます。
このままでは原稿は、発売前にすべて無料公開されてしまいます!
果たして犯人は誰なのか!?
という映画です。
オチなどは興味あれば見ていただきたいのですが、その中で、とても面白いシーンがありました。
それはこんなシーンです。
◆ 最強の言語作戦
情報漏洩が続く中、出版社の社長が怒り、9人にたいして銃を持って迫ります。
「動くな! 犯人は名乗り出ろ!」
社長の部下たちも囲んでおり、そうカンタンには逃げられません。
そんな超緊迫した場面です。
全員無事にここから脱出できるのか!?
そのときに9人は、ある方法を使います。
どうしたか。
それこそが「フランス語以外の言語を使ってコミュニケーションを取る」ことでした。
なぜなら、そこで社長を含めて、全員が理解できるのは「フランス語」。
その言葉で話してしまうと、社長に理解されてしまいます。
しかし翻訳家は仕事柄、自国の言葉以外にも、いくつか知ってる外国語があります。
よってそのマニアックな言語同士で意思疎通ができます。
だから、ドイツ語やスペイン語やノルウェー語など、一部だけが理解できる言葉を使って会話する…!
その言葉を知らない翻訳家には、その人間も知っている(フランス語以外の)言葉を使って教えてやる…!
そんな方法です。
そして彼らは
「合図をしたら、お前から逃げろ」
「キミはあの部下の方向だ」
「お前は反対側からだ」
「123でやるぞ」
「いやその言語で数えたら社長にも分かっちゃうから、○○語で数える」
みたいなことを、社長の前でしゃべるわけです。
もちろん社長や部下は理解できません。
すごい!
すごい方法です!
その結果、どうなったでしょうか!?
バン!
キレた社長に、一人が撃たれちゃいました。
脱出失敗です!
…。
いやこれね、いま思い出しても面白いシーンなんですけども。
社長にとってみたら、もう撃つぞ! オラ! みたいな場面で、9人が
「ペランコペラペラチョ」
「チョミピッポクチョンプ」
みたいな感じで、自分には理解できない言語をしゃべり始めるわけじゃないですか。
それって、何言ってるか分からなくても、なんか脱出のために話してるのは確実なわけで。
分かり切ってるわけで。絶対、逃げるための作戦トークなわけで。
しかも「社長には理解できないだろう言語で話そう」と彼らが思ってることの屈辱。
そりゃ撃つわ、と。
逆に9人は、なんで撃たれないと思えたのか聞きたい。各国語で聞きたい。
日本人がいたら「え、なんでイケると思ったん?」と真顔で聞きたい。
シリアスなミステリー映画なんですが、そのシーンだけが面白くて、一番記憶に残ってます。
社長は結局殺人罪で逮捕されちゃうんですけど、これ、9人も共犯ちゃうんかと。挑発した面あるよね?と。
そんな気持ちになった次第です。
◆ コミュニケーションは重要、という話。
ちなみに人間にとって「孤独」は最大のストレスだとされています。
そしてこの映画を見てふと思ったのですが、「言語によって感じさせる孤独感」って、結構、強いなぁと。
言語はコミュニケーションのための最強の手段なわけですが、ウラを返せば「理解できない言語をしゃべられる」というのは「最大の孤独」こと「最大のストレス」を与える手段にもなりえるのだな、と悟りました。
日本人は英会話が苦手とよく言われています。
これは日本語の文字や文法が、あまりに欧米圏の言語と離れているためしょうがないと思います。
欧米圏の言語では似た単語とかもたくさんありますし。
理由はともあれ、日本人は英会話が苦手で。
くわえて「海外で言葉が通じないこと」は、今話した理由から「最大のストレス」とするならば、日本人が海外で仕事をしづらい、という話も当然なのかなー…と。
そんな気持ちになりました。
少なくとも自分があの社長の立場になって、9人が知らん言葉だけで話したら、撃たない自信がない。マシンガンとか取り出しちゃうかもしれません。
何にせよ、普通のコミュニケーションのときは、たとえ同じ言語であっても、相手がちゃんと理解しているか確認しつつ話すことは重要なのかもしれません。
そんな無難な結論を感じつつ、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)
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