うつ病は「心のカゼ」じゃない!「心の骨折」です!

うつ病とは!?

うつ病は「心のカゼ」じゃない!「心の骨折」です!

うつ病は心の骨折

「うつ病は心のカゼ」。
そんなフレーズを聞いたことはありませんか?

おそらく「特別な病気ではなく誰もがかかる病気だからあまり重く考えず気軽に受診しましょうね」という意味で作られた言葉だと思います。
しかし「カゼと同じならば放置すれば治るのでは?」という誤解を生んでしまう可能性もあります。

もしそう感じているのなら、一段認識を改めましょう。

うつ病は心の骨折です。

放置することで炎症が起こったり、またはいつまで経っても治らず、どんどん悪化してしまう可能性もあります。

骨折してしまったら整形外科に行くように、心に不調を感じたら心療内科に行くことをおすすめします。

100万人以上が罹患している精神疾患

うつ病は精神疾患のひとつです。
憂うつな気分、意欲や興味が湧かないなどの精神活動の低下や、食欲不振、不眠、疲れが取れないなどの身体活動の低下が症状として現れます。
日本では100万人以上の人がうつ病にかかっており、生涯で1度はうつになる人は6.5%いると言われています。

気分が落ち込むことは生活をしていれば誰にでもあることですが、それは一時的なもので、ある程度時間がたったり気分転換をすることで回復するものです。
しかし、うつ病は2週間以上続き、何をしても気分が晴れず、日常生活に支障をきたします。何より本人が強い苦痛を感じています。

また、うつ病は脳が正常に機能していない状態なので、悪化すると自殺を選択してしまうこともあります。厚生労働省の調査では、自殺の一番の原因はうつ病とされています。
うつ病は最悪の場合「死に至る病気」なのです。
健康問題による自殺動機の内訳グラフ

女性はうつ病になりやすい

うつ病になる年代は、男性は40代に多く見られ、女性は30代からうつ病になる方が増え始めます。
女性は男性の約2倍うつになりやすいとされています。

その理由としては、月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)、出産、更年期障害などが考えられます。また、女性の社会進出に伴い、人間関係やコミュニケーションによるストレスを感じる機会も増えているのも大きな要因となっています。
女性のうつ病は、男性に比べてパニック障害などの不安障害を併発することが多く、軽くテンションが上がったり落ち込んだりを繰り返す躁うつ(双極性障害2型)の症状が出ることも特徴です。
男女年齢別うつ病患者数グラフ

うつと関連する気分障害の一覧

2~4の症状については、今後公開されるコラムにてそれぞれの詳細を記載していきます。

類型と特徴
1.大うつ病性障害(単極性うつ病)一般的にうつ病といわれるもの。長期間憂うつな状態で、無気力が続く。
2.双極性障害(躁うつ病)うつ状態と躁状態(気分が高まり活動的もしくは攻撃的になる)が交代で現れる。
3.季節性うつ
(夏季うつ/冬季うつ)
1年のうち決まった時期だけ思い当たる、やる気の低下や精神的に不安定になる症状。
4.非定型うつ
(新型うつ)
気分が沈みすべてに対して興味ややる気を失う従来のうつ病とは異なり、仕事のある平日は辛くなるが休日には元気になるといったように”甘え”と勘違いされがちな症状。

うつ病の症状

精神症状・肉体症状

うつ病の症状として気分の憂うつや不安、焦燥感といった精神症状の他に眠れない、食欲が出ないといった肉体症状があります。
うつの症状

うつ病の判断基準

うつ病の判断基準であるDSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)によると、以下のように定義されています。

1.ほぼ毎日、一日中何をやっても楽しさを感じない
2.ほぼ毎日、一日中憂うつな気持ちになる
3.ひどく食欲がないか、逆に食欲がありすぎる
4.ひどく眠れないか、逆に眠りすぎてしまう
5.イライラが強いまたは動きが減ってしまう
6.ひどく疲れやすい
7.自分はどうしようもない人間だ…など自分を責める
8.集中力が落ちて考えが進まない
9.何度も自殺を考える

このうち1と2のどちらかを満たし、5つ以上の症状が2週間続く場合うつ病と診断されます。
うつは放置すればするほど元の状態に戻るのが難しくなります。早めの受診をおすすめします。

うつ病の原因

ストレスがきっかけ

うつ病がなぜ発症するのかハッキリとした原因はまだわかっていませんが、1つの原因だけでなく遺伝的要因、環境的要因、身体的要因などさまざまな要因が重なって発症すると考えられています。

特にうつが起こりやすいタイミングとして圧倒的に大きいのは環境変化直後になります。
転職、就職、異動、進学、結婚、離婚、引っ越しなどです。これは悲しいことだけに限らず、嬉しいことでも起こりえます。「昇進うつ病」というものを存在し、端から見れば喜ばしいことであっても、本人はその環境変化によって強い不安を抱き、それによってうつ病になってしまうこともあります。
いずれにしても強いストレスが引き金となり、発症してしまいます。
うつ病の3つの要因

ウイルスが原因か

東京慈恵会医科大学の研究グループは、ほとんど全ての人に潜伏感染しているヒトヘルペスウイルス6B(以下HHV-6B)がうつ病に影響していると発表しました。
HHV-6Bは赤ちゃんの熱性発疹症の原因ウイルスで、2歳までにほぼ100%の人が感染しています。
このHHV-6Bがヒトの脳にある嗅球に潜伏する際、SITH-1という潜伏感染タンパク質を作り出しますが、SITH-1抗体が陽性の人は陰性の人に比べ12.2倍うつ病になりやすいという結果でした。また、うつ病患者5人中4人はSITH-1抗体が陽性という結果が出ました。

嗅球は情報処理をする器官ですが、同時に免疫機関でもあり、唾液中のウイルスが脳に侵入するのを防いでいます。
しかし疲労などで免疫が低下すると、潜伏していたHHV-6Bが再活性化し嗅球の機能が壊れてしまいます。すると、脳のストレス反応が強まり、うつ病を発症するようです。

認知のゆがみ

うつになりやすい人ほど「認知のゆがみ」という状態に陥っています。
例えば、一つでも何かの失敗をしたときにそれを拡大解釈して「いつも失敗する」「全部ダメになった」などと考えてしまうのです。

認知のゆがみの根底には「スキーマ」があるとされています。
スキーマとは人が無意識に持っている固有の価値観のことです。
「社会的に成功せねばならない」
「すべての人に愛されなければならない」
「すべてが完璧でなくてはならない」
という思考を人はしがちで、そういった価値観が強すぎるとストレスを受け苦しくなります。
スキーマにもいい面はあるためスキーマの修正をする必要があります。

認知のゆがみ代表的な10項目
1.全か無か思考物事を白か黒かの二極でしか考えられず、少しのミスで全否定してしまう
2.過度の一般化1度や2度起きただけの悪いことを「いつも悪いことが起きる」と思い込んでしまう
3.心のフィルターいい面を認識できなくなり、悪い面だけを認識してしまう
4.マイナス思考普通のことや良いことなのに、悪い方向にすり替えて考えてしまう
5.結論の飛躍相手の気持ちや将来を根拠なく決めつけ、悲観的に思い込んでしまう
6.誇大解釈と過小評価自分の悪い点は大げさに考えるが、良い点は低く評価してしまう
7.感情的な決めつけ自分の感情を根拠に物事を決めつけてしまう
8.すべき思考「~すべきだ」「~〇〇すべきでない」と必要以上にプレッシャーをかけてしまう
9.レッテル貼りミスなどをした際に「自分はダメな人間だ」などとネガティブなレッテルを貼ってしまう
10.自己関連づけ良くないことはすべて自分の責任であると思い込んでしまう

うつ病の治療法

十分な休養

責任感の強い人ほどなかなか休みをとろうとしません。そのような人は仕事や家事などから離れないと治療をしても十分な結果を得られません。
うつ病にもっとも必要なのは十分な休養です。治療が必要な状態であることを理解し「仕事から完全に離れる時間」や「その悩みについて考えない時間」を持つことが大切です。
そして生活リズムの改善、生活習慣の改善を心がけましょう。

心理療法

特定の訓練を積んだ専門家(臨床心理士など)との話し合いを通じて、心理的諸問題を抱える人の、認知・行動・感情・身体感覚に変化を起こさせ、症状や問題行動を消去もしくは軽減することを目指す治療法です。

うつ病の人は、出来事に対して良くない方向に考える癖がついてしまっています。つらさを引き起こしている自分自身の考え方や行動の習慣を振り返り、それらを意識的に修正していくことで、健康的な日常生活を送れるようにしていきます。

薬物療法

現在日本で使われている主な薬はSSRI(セロトニンの再取り込みを阻害する薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリンの再取り込みを阻害する薬)という抗うつ剤です。
飲み始めてから実際に聞き始めるまでに、平均的に2週間~2ヶ月前後かかると言われていますので、「何だか飲んでみたけど、効かない…」ということでやめてしまうのではなく、長い目で見ることが大切です。

副作用としてよく起こるものに「目まい・吐き気」がありますが、飲み始めや増やした直後に一部の人に出るだけで、長期的にはほとんどなくなっていくと言われています。
突然やめたりすると、副作用が強く出る人もいますので、医師の指示に従った上で服用しましょう。

抗うつ薬はこれ以外にも色々な種類がありますし、「抗不安薬」「睡眠薬」「抗てんかん薬」「抗精神病薬」などさまざまな薬が存在しています。いずれも薬だけに決して気軽にオススメするものではありません。
ただ、どうしてもつらいときには薬を使うことも必要です。特にうつ状態が強いとき抗うつ薬の服薬は重要なことです。

当院のうつ病治療について

お悩み重視

どんなうつ病であったとしても、じっくりと悩みを整理して今後の対策を一緒に考えることは大切です。

多くの心療内科では「薬剤」が治療の中心ですが、当院では基本的に患者さんの要望に添った治療をしておりますので、「どうしても薬はイヤ!」という場合に、強制することは決してありません。その場合は、ご希望を尊重して薬は最小限で済むようにし、環境調整や認知行動療法、生活習慣の改善で回復できるようにアプローチしていきます。
(ご病状によっては薬剤について提案することもあります。)

現在は様々な治療法がありますので、一人で悩まず、お気軽にご相談いただければ幸いです。

うつ病の回復までの流れ

うつ病回復までの流れ

急性期

うつ病と診断を受けたら、まず十分に休養し、決められた服薬をすることが重要です。
1~3カ月ほどで軽快(症状が軽くなること)に向かうのが一般的ですが、半年以上かかる場合もあります。
また、薬との相性も人により異なるため、服薬の効果が現れるまでに時間がかかることもありますが、焦らないで薬物治療を継続することが大切です。

急性期は休養が何よりも大切ですので、主治医の指示に従って、できるだけストレスの原因から離れて休むことに専念しましょう。

回復期

調子がよい日と悪化する日を波のように上下しながら一進一退を繰り返す時期です。
調子のよい日が続いたからといって、「もう治った!」と勝手に判断して無理をしたり、薬を止めてしまったりすると、症状が悪化して回復までに余計に時間がかかってしまうこともあるため注意が必要です。
引き続き十分な休養と服薬を続け、焦らず治療を続けましょう。

この頃には、少しずつ無理のない程度に散歩をしたり、図書館に行ってみたりと、昼間の活動量を増やしながら生活リズムを整えていくことが回復への近道になります。
復職にあたってはリワークプログラムなどを利用して、徐々に就業リズムに体と心を慣らしていくとよいでしょう。

状態維持期

回復期を過ぎ、症状がかなり安定して社会復帰を果たすことができてくる時期です。

しかし、うつ病は再発しやすく、回復期を過ぎても1~2年間は薬物治療を継続し、再発を予防しながら調子のいい状態を維持する必要があります。薬を飲むのを止めてしまったり、活動しすぎて疲労が溜まり再発しないよう、無理のないペースを保ちつづけることが重要です。

再発のサインは人それぞれですが、気分の落ち込みやイライラ感、不眠など、はじめにうつ病になった時の症状とほぼ同じです。自分では気づかない再発のサインが出ていた時にも注意してもらえるよう、家族や周りの人たちにお願いしておくとよいでしょう。

うつ病の予防法

予防には3つのR

うつ病の予防には3つのRが大切です。

うつを予防する3つのR
  • Rest(休憩・睡眠)
  • Recreation(運動・娯楽)
  • Relax(ストレッチ・音楽・アロマなど)

また、辛いときにはひとりで抱え込まず、疲れきる前に、相談できるところを探すことが大切です。

悩みを小出しにする

大金持ちでもそれはそれでストレスはありますし、美人ならやはり美人なりの大変さだってあるはずです。
では、抑うつ的になる人、メンタル的に悩む人と悩まない人は何が違うか。それこそが「普段から、小出しにできているかどうか」という差ではないでしょうか。

たとえば、
「友達や恋人、家族などに定期的に話せている」
「趣味など、ストレス解消の手段を持っている」
など、ストレスを小出しにできる方法を日常的に行えているかどうかによって、ストレスが溜まりにくくなっているだけではないかと思います。

実際にメンタルクリニックにいらっしゃる方の場合、たとえば一人暮らしであったり、誰かと定期的に話せなかったりと、ストレスを出す手段がほとんどない方が多かったりします。
だからこそカウンセリングに意味があるのです。

周りの人がうつになったら

よく言われるのは、うつの人に「頑張れ」と言うのは良くないということです。うつの人には励ましや声援はかえってプレッシャーになってしまい、良かれと思って提案しすぎるのもストレスを与えてしまいます。
あなたにできる最大の行動は「話を聞いてあげること」です。積極的なアドバイスをしよう、変えてあげようなんて思う必要はありません。ただ優しく話を聞いたり、そばにいてあげるだけで十分です。

その一方で、軽いうつの場合は行動することで改善することも多く、「頑張れ」が有効なこともあります。
軽いうつ病は、少し会社に行きにくい、ちょっと眠りづらくなったなど、全体的に症状が軽いうつのとこです。これはかなり多くの方がなり得るものです。
実際、メンタルクリニックにいらっしゃる患者さんは現在ものすごく増えていますが、大半はこの「軽いうつ」の方です。その場合、メンタルクリニックからは休むことを勧めることもありますし、また逆にうまくマッチする形で仕事をもう少し頑張ってみては、とアドバイスすることもあります。

症状によってアドバイスや対応、治療は変わってきますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。

うつ病に関するマンガ

ゆうメンタルクリニックではうつ病に関するマンガを執筆しています。

 
 
 
 
 

うつ病に関するお薬

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うつ病におすすめの心療内科

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官越いやし|ゆうメンタルクリニック心療内科・精神科

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このページは、ゆうメンタルクリニックの医師・スタッフが監修・制作しております。

特別監修・ゆうきゆう
精神科医、心理学者。
東京大学医学部医学科を卒業後、うつ病・統合失調症・てんかん・パニック障害・社交不安障害・不眠症など多くの疾患の治療を行い、2008年よりゆうメンタルクリニックを開院。
『マンガで分かる心療内科』の他、100冊以上の著作があります。

ゆうきゆうプロフィール

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