映画「キングダム」に学ぶ、奴隷が出世する最大の秘訣〜心療内科コラム

映画「キングダム」に学ぶ、奴隷が出世する最大の秘訣〜心療内科コラム

映画「キングダム」を見て来ました。
色々と話したい点があるのですが、中でも一番感動した、心理学的にもっとも重要な点を述べます。

◆ 映画「キングダム」は、とても味があった。

映画「キングダム」に学ぶ、奴隷が出世する最大の秘訣〜心療内科コラム

というわけで、映画「キングダム」を観て来ました。

こちらは、週刊ヤングジャンプに連載されているマンガ。
現在、50巻以上発刊されています。すさまじいです。

色々な所で話題になっていたので、自分自身、興味をもって、読んでみました。
50冊…。すごい量ですが、飽きさせることがないので、スイスイ読めました。

一言でいうと、「秦の始皇帝」の話です。世界史で学んだ方も多いかもしれません。
その始皇帝の若いころから話が始まり、彼がどうやって帝国を築いていったか…というドラマになります。

主役は始皇帝ではなく、その部下(かつ友人)でもある「信」という少年です。

さてまぁ、とにかくマンガも読んだことがあったので、あらためて映画を観てきたわけです。

何と言うか、いや、最初から最後まで迫力あって良かったです。
くわえて一人一人の俳優陣に味があって、とても面白かったです。

個人的にベストは悪役の本郷奏多さん。

映画「キングダム」に学ぶ、奴隷が出世する最大の秘訣〜心療内科コラム
(画像シネマトゥデイさんから)

始皇帝の弟を演じています。

まさに「美形の小物」という感じで素晴らしかったです。

そしてヒロインである橋本環奈さん。

映画「キングダム」に学ぶ、奴隷が出世する最大の秘訣〜心療内科コラム
(画像シネマトゥデイさんから)

個人的に、橋本環奈さんって、「藤原竜也さんがどの映画に出てもちゃんと藤原竜也さん」なのに匹敵するくらい「どの映画に出てもちゃんと橋本環奈さん」だと思っておりまして。どこに出ても隠しきれない「おーっほっほ! わたくし、橋本環奈でございますよー!」みたいな雰囲気というか。カレーライスとかでたとえるなら、ニンジンとジャガイモと橋本環奈さん、みたいな。ぜんぜん溶け込んでない。全力で橋本環奈さんがいる、みたいな。
ただこの映画では、いい意味でそれがなくて、いい意味で材料の一つになっていて、自然に溶け込んでいました。良かったです。

さてとにかく、俳優陣が一人一人、いい意味で味があって素晴らしかったのですが、純粋にストーリー的に感動した、何より重要な点を一つあげます。

貧しいときの前向きさ

マンガのストーリーは「秦の始皇帝と、友人である信の一生」なわけですが、この映画で描かれているのは、「若いころの秦の始皇帝(=秦王)が、反乱を行った弟を討つ」というところまで。
そして主役である信は、当初は奴隷だったところ、全力で立身出世を願い、結果的に、王と合流します。
そのため映画の9割くらいの時間、彼は王を助けるため、様々な敵と全力で戦っていたわけですが…。

個人的に一番素晴らしいと思ったのは、映画開始から10分くらいの、彼がまだ奴隷として働いていたときのシーンです。

奴隷としての仕事は、主に「山からマキを集めてくること」。

しかし彼はそこで、自ら大量のマキを背負って、山の中を歩いていました。
それには主人も驚くほどでした。

目的はもちろん「体を鍛えて、強い男になるため」です。

シーンとしては数秒ほどではありましたが、僕の心の中に、一番強烈に残っています。

そのインパクトは、映画の9割を占める「王と合流したあとの、敵とのバトルシーン」以上です。なぜか。

実際、立身出世を願っていた彼が、王と共に戦えることになったら、それは頑張って当然です。おそらく、誰だって全力で戦うはずです。
目の前にハッキリと出世のチャンスがあると分かりますから。
ここで頑張るのは「当然」なのです。偉いことではありますが、誰でもやれることなので、そこまで偉くない。

しかし「王とまだ会ってもいない、しかも奴隷という立場である」というときに。

「将来の成功を夢見て、奴隷の仕事であるマキ運びを全力で前向きなトレーニングに変えていく」

というのは、誰にでもできることではありません。
おそらく大半の人なら、「何で俺は奴隷なんだ」「こんな人生イヤだ」なんて考えてスネたり、「マキ運びなんてイヤだ、俺にはもっとふさわしい仕事が…」なんてグジグジ考えて、ただ日々を怠惰に過ごしてしまうのではないでしょうか。

しかしすべてを将来のためと考えて、自分なりにアレンジしたり、自分なりのゲームやミッションのようにとらえて、前向きに立ち向かう…。
それができる人こそが、何より成功に近づいていくわけです。

日本では、阪急・東宝グループ創業者の小林一三が、こう述べた話があります。
「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ。」

これこそが仕事で、いえ人生で何より重要なことではないかと思います。

立場や境遇を嘆く前に、そこで全力を尽くせ。
または信がマキ運びをトレーニングに変えたように、面白くない仕事も、自分なりにアレンジして、面白くしてみろ。

こういう発想こそが何より大切なのです。

あなたも日々を変えられる。

というわけで、あなたも何か、ヒントとして感じることがありませんでしょうか。
「何で自分はこんな立場にいるんだ」とか
「どうして俺はこんな扱いなんだ」なんてグチや不満を言っているなら、ちょっと考えてみてください。

「もし今の自分の状況に『意味』があるとするなら、どんなことか?」
「今の状況を『利用』して、将来に役立てられるなら、どんな方法があるか?」

こんな風に考えてみると、気持ちが前向きになります。

そして日々を前向きにとらえはじめると、気持ちも明るくなり、すべてがさらにうまく行き始めていきます。

どうか覚えておいてくださいね。

今回のまとめ

○ 今をスネるのではなく、「今の状況を利用して、将来に役立てられるなら、どんな方法があるか?」と考え、前向きに工夫して楽しんでみること。

というわけで、いかがでしたでしょうか。
ちなみに自分自身が奴隷の立場だったら、マキ運びを「何かすごい女王様に命じられた仕事」みたいに思って、重ければ重いほどハァハァしていると思います。

ネガティブな方向に成長していく自分を感じつつ、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

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ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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特別監修・ゆうきゆう
精神科医、心理学者。
東京大学医学部医学科を卒業後、うつ病・統合失調症・てんかん・パニック障害・社交不安障害・不眠症など多くの疾患の治療を行い、2008年よりゆうメンタルクリニックを開院。
『マンガで分かる心療内科』の他、100冊以上の著作があります。

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