不登校の悩み、どこに相談したらいいの？【医師が解説】

お子さんの不登校に直面したとき「どこに相談すればいいのか分からない」と悩む保護者の方は多いものです。

「朝になるとお腹が痛くなる」「学校に行こうとすると涙が出る」
そんなふうに、不登校が始まるきっかけはとても繊細で、人それぞれです。

はじめは「そのうち落ち着くだろう」「疲れているのかもしれない」と見守っていたけれど、気づけば数週間、数ヶ月と登校できない日々が続いている…。
保護者の方にとっても、本人にとっても、大きな不安を抱える状況ですよね…。

適切な支援を受けるためには、まずどこに相談すべきかを知ることが重要です。

今回は、不登校とは何か、また不登校に関する相談先について詳しくまとめてみました。

不登校とは

不登校は、文部科学省により「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的理由による者を除いたもの」と定義されています。

調査によると、2022年度の不登校児童生徒数は小中学生あわせて約29万人と過去最多を更新しました。

不登校は病気ではありません。心理的要因などから「学校へ行かない」「学校へ行けない」状態のことを指します。
重要なのは、決して本人は登校を拒否しているのではなく「行きたくても行けない」という場合がほとんどであるという点です。

特に、朝になると体調不良を訴えるケースや「行かなきゃいけない」と思いながらも動けなくなってしまうケースは、心と体が結びついた“こころのSOS”の可能性があります。
これは決して甘えではなく、きちんと向き合うべき心身のサインです。

どこに相談すればいい？

不登校の相談先としてまず思い浮かぶのは「学校」かもしれません。
担任の先生や養護教諭、生徒指導担当などに相談することで、現在の学校生活の状況や環境面を調整することができます。
また、多くの学校にはスクールカウンセラーが在籍しており、心理的な支援を行ってくれます。

一方で「学校の関係者には話しづらい」「より中立的な視点で見てもらいたい」という場合や「体調不良が続いている」「食欲がない」「眠れない」など、心身に明らかな変化がある場合には、医療機関——特に心療内科への相談が有効です。

心療内科は「気分が晴れない」といったメンタル不調はもちろん、発達障害についての相談や「ストレスによって体の症状が出ている」ようなケースについても対応しています。
たとえば、不登校に伴う頭痛や腹痛、倦怠感、不眠、食欲不振などの症状に対しては、心と体の両面からアプローチを行います。

診察では、まずお子さんの様子や日常生活について丁寧に話を聞いたうえで、必要に応じて心理検査やカウンセリング、場合によっては軽い薬物療法などを提案することもあります。
ご本人だけでなく、保護者の方も一緒に相談できるため、家庭での対応についてアドバイスをもらうことも可能です。

また、地域によっては「児童精神科」「思春期外来」といった専門外来が設けられていることもあります。