就活がうまくいかないとき、「自分の価値」まで否定しなくていい

就活の不採用=「個人の価値」ではない理由
こんにちは、ゆうメンタルクリニック医師の森しほです。
さて、仕事そのものが負担に感じられる方も多いのですが、「仕事を探すこと」そのものが心の負担になっている方にも多く出会います。今日は就活と心の守り方についてお話しします。
就職活動は、学校のテストと少し違います。
「ここまで勉強すれば合格」
「これをやれば必ず受かる」
という明確な答えがありません。
応募して、面接をして、結果を待つ。
そして、不採用だった。
それだけならまだしも、何社も続けて落ちると、
「自分には能力がないのでは」
「社会に必要とされていないのでは」
「この先ずっと仕事が見つからないのでは」
と考えてしまうことがあります。
特に、先の見通しが立ちにくいことに強い不安を感じる方にとって、就活はかなり消耗する作業です。
発達特性のある方だけではありません。
うつ病の回復期にいる方、双極性障害の治療中の方、統合失調症からの社会復帰を目指している方など、「これから働きたいけれど、どう動けばいいのかわからない」という悩みは共通しています。
ここで覚えておいてほしいのが、
採用結果=あなたの価値
ではない、ということです。
採用には、能力以外にも、
会社との相性。
募集しているポジション。
その時点で企業が求めている人材。
他の応募者との比較。
採用人数。
タイミング。
いろいろな要素が関係します。
それなのに不採用になると、「自分の能力が低かったからだ」と全部を自分の責任にしてしまう。
心理学では、こうした考え方を「認知の偏り」と捉えることがあります。
もちろん、自分の準備を振り返ることは大切です。
ただし、
「面接でうまく答えられなかった」
↓
「自分は社会人としてダメだ」
まで飛躍しないこと。
この間にあるものを、一度分けて考えてみてください。
「今回の面接では、この質問にうまく答えられなかった」
ここまでなら、次回の対策ができます。
一方、
「だから自分には価値がない」
これは、就活の事実からは導けません。
実際、失業とメンタルヘルスについてのメタ解析では、失業者では抑うつ症状や大うつ病性障害の割合が高く、失業と抑うつとの関連が示されています。(PubMed)
就活中の心をすり減らさないための実践的な工夫
つまり、就活が長引いて心がつらくなるのは、あなたが弱いからとは限りません。
「仕事が決まらない」という状況そのものが、心に負担をかけるのです。
だからこそ、就活期間の生活を守る工夫が重要です。
私がおすすめしたいのは、「就活をする時間」を決めることです。
たとえば、
午前10時〜11時は求人を見る。
応募は1日2件まで。
午後は求人サイトを開かない。
このようにします。
ずっと求人サイトを見ていると、「就活をしていない時間=サボっている時間」のように感じてしまいます。
でも、それでは休むことができません。
休むことも就活の一部です。
そして、不採用通知が来た日は、何か大きな結論を出さない。
「自分はダメだ」
「もう就職できない」
「全部やめよう」
こういう判断は、落ち込んでいる当日にしなくてもいいのです。
お風呂に入る。
好きなものを食べる。
散歩する。
眠る。
そして翌日、少し元気になってから考える。
これだけでも違います。
一人で抱え込まず「自分に合う環境」を探すためのアプローチ
もう一つ大切なのは、就活を一人でやらないこと。
大学のキャリアセンター。
就労支援機関。
ハローワーク。
家族や友人。
主治医や支援者。
使えるものは使っていいのです。
特に発達特性がある方の場合、「自分に向いている仕事を一人で探す」よりも、これまでの経験を誰かと一緒に整理するほうが、適性が見えやすくなることがあります。
また、精神疾患のある方の就労支援では、本人の状態だけを見るのではなく、「どんな職場なら安定して働けるか」という環境との組み合わせを見ることも大切です。
就職はゴールではありません。
「とにかくどこかに受かる」ことよりも、
「自分が無理なく続けられる場所を探す」
ことのほうが大切です。
そして、就活が長引いている人に、ぜひ伝えたいことがあります。
今、仕事が決まっていないことと、あなたに価値がないことは、まったく別の話です。
不採用は、「あなた自身が不合格」という通知ではありません。
「今回の募集とは条件が合わなかった」。
それくらいに捉えていいのです。
少し休んで、また探す。
誰かに相談する。
応募する数を減らす。
仕事内容を変えてみる。
働く時間を短くする。
いろいろな方法があります。
人生は、一回の面接で決まるほど単純ではありません。
焦らなくて大丈夫。
「自分を評価してくれる場所」を探すというより、
「自分と仕事の条件が合う場所」を探す。
そんなふうに就活を考えてみてください。
参考文献
・Arena AF, et al. Mental health and unemployment: A systematic review and meta-analysis of interventions to improve depression and anxiety outcomes. J Affect Disord. 2023. (PubMed)
・Unemployment associated with major depression disorder and depressive symptoms: a systematic review and meta-analysis. (PubMed)
・Weld-Blundell I, et al. Vocational Interventions to Improve Employment Participation of People with Psychosocial Disability, Autism and/or Intellectual Disability: A Systematic Review. Int J Environ Res Public Health. 2021. (PubMed)
取材実績(一部抜粋)
【TV】TBSテレビ「情報7daysニュースキャスター」(『ドパガキ』について)
【WEB】Yahoo!ニュース(
スマホ一律禁止はNG?メンタルクリニックで増加傾向「ドパガキ」相談…専門医 “年齢別の付き合い方”指南「刺激の排除でなく、他の楽しさを失わないこと
)
【WEB】PRESIDENT Online(
カリッと焼いてかじるだけ…9月のメンタル不調者に不足する栄養素がとれる「スーパーにある食材」
)
【監修】大塚商会
「自分の状態を確認する簡単ストレスチェック」
【雑誌】マガジンハウス「Tarzan」
【雑誌】株式会社プレジデント社「PRESIDENT WOMAN」
【TV】フジテレビ『バイキング』
【TV】TBS『ビビット』
【YouTube】『ぶーちゃんねる-歌舞伎町リアル-』(
【病院】歩き辛いくらいアトピーがひどいので皮膚科に行ってきました。
)
【YouTube】『かずのすけ』(
敏感肌でもできる【痛くない医療脱毛】はあるの?お肌に優しい脱毛を受け続けたら5年前より若返った30歳男子の『顔脱毛』体験レポ
)
【Web記事】LITALICO発達ナビ
【Web記事】LITALICO仕事ナビ
【Web記事】Medicalook
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