共通の課題があると仲良くなる

こんにちは!
ゆうメンタルスキンクリニック 医師の森しほです。
「この人ともっと仲良くなりたい。」
恋愛でも、職場でも、家族でも、誰しも一度はそう思った経験があるのではないでしょうか。
そんなとき、多くの人は「もっと話しかけよう」「共通の趣味を探そう」「相手に好かれるように頑張ろう」と考えます。
もちろん、それらも関係づくりには大切です。
しかし心理学や精神医学の研究では、それ以上に人との距離を縮める力がある方法が分かっています。
それは、
「一緒に課題を乗り越えること」
です。
実は、人は楽しい時間だけでなく、「一緒に考えた時間」「困った時間」「協力して乗り越えた時間」によって、強い信頼関係を築きやすいことが知られています。
■なぜ一緒に困難を乗り越えると仲良くなるのでしょうか?
この現象は、心理学では「社会的結束(Social Cohesion)」や「内集団効果(In-group Effect)」として研究されています。
有名なのが、心理学者ムザファー・シェリフらによる「ロバーズ・ケーブ実験」です。
少年たちを2つのグループに分けると、それぞれが自分たちのグループを守ろうとし、自然と対立が生まれました。
ところが、「みんなで協力しなければ解決できない課題」を与えると、その対立は徐々に消え、お互いを助け合う関係へと変化したのです。
つまり、人は
「あなたが敵」
ではなく、
「課題が敵」
になることで、自然と仲間意識が芽生えます。
これは大人になってからも変わりません。
■脳の中でも「絆」が作られている
精神医学の視点からも、この現象は説明できます。
人は適度なストレスや困難に直面すると、「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。
オキシトシンは「愛情ホルモン」「絆ホルモン」と呼ばれ、相手への信頼や安心感を高める働きがあります。
もちろん、強すぎるストレスは逆効果です。
長期間の過度なストレスは心身を疲弊させ、人間関係にも悪影響を及ぼします。
しかし、「少し頑張れば乗り越えられる課題」を一緒に経験することは、相手との信頼を育てるきっかけになりやすいのです。
■雑談だけでは距離が縮まらないこともある
「何度も食事に行っているのに、なかなか距離が縮まらない。」
そんな経験はありませんか。
もちろん会話は大切ですが、雑談だけではお互いの役割が生まれません。
一方で、一緒に料理を作る、旅行を計画する、イベントを企画するなど、「協力する場面」があると、自然と役割分担が生まれます。
「ありがとう。」
「助かった。」
「一緒にできてよかった。」
そんなやり取りが積み重なることで、「この人とは安心して一緒にいられる」という感覚が育っていくのです。
■恋愛で実践するなら
恋愛では、「相手を楽しませよう」と一人で頑張りすぎる方も少なくありません。
しかし、それよりもおすすめなのは、「二人で挑戦すること」を増やすことです。
例えば、
・脱出ゲームや謎解きイベント
・料理教室
・旅行の計画を一緒に立てる
・スポーツやボルダリング
・ウォーキングやランニング
・資格試験や語学学習
・「今年やりたいことリスト」を一緒に作る
こうした体験では、「一緒に達成した」という感覚が生まれやすくなります。
また、旅行中に道に迷ったり、お店が休みだったりといったハプニングも、「最悪だった」で終わらせず、「一緒に乗り越えた思い出」と捉えられると、その経験自体が絆になることがあります。
■恋愛で気をつけたいこと
ここで勘違いしてはいけないのは、「困難を作ればよい」というわけではありません。
相手を試すような行動や、わざと嫉妬させること、駆け引きをすることは、信頼関係を壊してしまうことがあります。
また、「共通の敵」を作ることと、「誰かの悪口で盛り上がること」はまったく別です。
悪口で一時的に盛り上がることはあっても、長期的には「自分も陰で言われるのでは」という不安につながり、信頼を損ねることがあります。
目指したいのは、
「あなたと私が一緒に課題へ向かう」
という関係です。
■職場ではどうでしょうか?
これは恋愛だけでなく、職場でも非常に重要です。
人間関係が良い職場には共通点があります。
それは、
「誰が悪いか」
ではなく、
「どうすれば解決できるか」
という視点で話し合えることです。
例えば、ミスが起きたときに犯人探しをするよりも、
「次はどうすれば防げるだろう?」
とチーム全体で考える職場では、心理的安全性が高まり、助け合いが生まれやすくなります。
また、
・部署を超えたプロジェクト
・後輩を育てる仕組み
・困ったときに相談しやすい雰囲気
・成功体験をチームで共有する
こうした環境も、「一緒に課題を乗り越える経験」を増やしてくれます。
■家族や子育てにも応用できます
この考え方は家族にも役立ちます。
例えば、
「早く片付けなさい!」
ではなく、
「10分で一緒に終わらせよう!」
と声をかける。
「宿題やったの?」
ではなく、
「今日はどこまで一緒に進めようか。」
そんな関わり方をするだけでも、「親が敵」ではなく、「課題を一緒に解決する仲間」という感覚が育ちやすくなります。
夫婦でも、
「家事を手伝って。」
ではなく、
「今日は一緒に30分で終わらせよう。」
という伝え方のほうが、協力しやすいこともあります。
■医師として感じること
人間関係が長続きする方には共通点があります。
それは、「相手を変えよう」とするよりも、「一緒に考えよう」という姿勢を持っていることです。
人は、自分を評価してくれる人よりも、自分と一緒に悩み、一緒に前を向いてくれる人に安心感を抱きます。
「一緒に考えよう。」
「どうしたらできそうかな。」
そんな一言が、人との距離を縮めることも少なくありません。
■最後に
人との関係を深めたいとき、「もっと面白い話をしなきゃ」「もっと好かれなきゃ」と頑張りすぎてしまう方は多いものです。
でも、本当に距離を縮めるのは、「一緒に何かを乗り越えた」という経験なのかもしれません。
恋愛でも、職場でも、家族でも。
「あなた vs 私」ではなく、
「あなたと私 vs 課題」
という視点を少しだけ意識してみてください。
一緒に考え、一緒に悩み、一緒に達成する時間は、きっと人との絆を少しずつ育ててくれるはずです。
取材実績(一部抜粋)
【雑誌】マガジンハウス「Tarzan」
【雑誌】株式会社プレジデント社「PRESIDENT WOMAN」
【TV】フジテレビ『バイキング』
【TV】TBS『ビビット』
【YouTube】『ぶーちゃんねる-歌舞伎町リアル-』(
【病院】歩き辛いくらいアトピーがひどいので皮膚科に行ってきました。
)
【YouTube】『かずのすけ』(
敏感肌でもできる【痛くない医療脱毛】はあるの?お肌に優しい脱毛を受け続けたら5年前より若返った30歳男子の『顔脱毛』体験レポ
)
【Web記事】LITALICO発達ナビ
【Web記事】LITALICO仕事ナビ
【Web記事】Medicalook
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