五月病? 五月になると患者さんが増える理由~女医が教える心理学

五月病? 五月になると患者さんが増える理由~女医が教える心理学

女医「五月だねぇ」

青年「そうですねぇ」

女医「五月になると増えるものって何か知ってる?」

青年「えっ」

女医「A…こいのぼり。B…かしわもち。C…五月人形」

青年「う、うーーん…。ど、どれも増えると思うんですが…」

女医「ブーッ。正解は、Dの五月病」

青年「突然に深刻な話に」

女医「こいのぼりもかしわもちも五月人形も、住宅事情とか他のスイーツの台頭によって、今はそこまで増えてないと思うわ」

青年「そんな細かい回答アプローチが必要な問題だったとは」

女医「で、とにかく五月になると増えるのが五月病」

青年「ま、まぁそりゃそうでしょうけど」

女医「実際に、私、メンタルクリニックで働いてるんだけどね」

青年「そうでしょうね」

女医「でもメンタルクリニックに来る患者さんって、五月になると、いつも以上に増えるの」

青年「そうなんですか…!?」

女医「そう。4月に比べてずっと増える。年間通して、新患の人数で言うと、かなり多い部類に入るわ」

青年「や、やっぱり五月病ってあるんですね…」

女医「ないわ」

青年「はぁ!?」

女医「五月病ってよく言われるけど、実際に精神医学で『五月病』が病名として定義されているわけではない。ただ、それでも五月に患者さんが増えるのは事実で、診察をしてみるとその多くが『うつ病』に分類されるので、『五月病』というより『五月になると、うつの患者さんが増える』という方が正確かもね」

青年「で、でも、どうして増えるんですかね…?」

女医「やはり、4月に多くの人の環境が変化するわよね。新学期とか新職場とか。最初のうちは緊張感があるけど、五月になってその緊張がゆるみ、それでも変化によるストレスもあるから、悩みやすいんじゃないかしら」

青年「な、なるほど…」

女医「くわえて新生活にたいして期待を持っていても『あれ? そこまで期待ほどではないな…』と悟り始めて、気持ちが落ち込んでしまう、というのもあると思う」

青年「へぇ…」

女医「さらに五月は、暑くなり始めの時期。純粋に気温が変化が急激で、暑くなりはじめたり、寒くなり始めたりすると、精神疾患の数も増えるとされている。これらの理由で、五月に患者が増えているのではないかしら」

青年「気温も関係するんですね…」

女医「よってもしあなたが今、調子を崩していると思うのなら『これ、五月のせいじゃない?』って考えるのも手だと思う。そして『今の時期だけ』と考えて、気持ちをラクにして時間を過ごす、というのもアリだよ」

青年「な、なるほど…。時期のせいにするんですね…」

女医「そのとおりだよ。くれぐれも抱え込みすぎないようにね!」

青年「は、はい!」

 

今回のまとめ

○ 五月になると、精神疾患の方は増える。

○ もし調子を崩しているなら、時期のせいだと思って、気持ちをラクにすることが大切。

 

青年「でも五月病かぁ…。あ、他の時期の病気ってないんですか? 月に特有みたいな…」

女医「そうね…」

 

五月病? 五月になると患者さんが増える理由~女医が教える心理学

青年「気持ちは分かる」

(完)

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

官越いやし|ゆうメンタルクリニック心療内科・精神科

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特別監修・ゆうきゆう
精神科医、心理学者。
東京大学医学部医学科を卒業後、うつ病・統合失調症・てんかん・パニック障害・社交不安障害・不眠症など多くの疾患の治療を行い、2008年よりゆうメンタルクリニックを開院。
『マンガで分かる心療内科』の他、100冊以上の著作があります。

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