【イカゲーム】「橋ゲーム」を精神科医が確率計算した。ネタバレ感想

こんにちは。ゆうきゆうです。

さてみなさんは「イカゲーム」というドラマをご存じでしょうか。
Netflixという動画サイトでのオリジナルドラマで、90カ国で再生数一位を記録したドラマです。

内容はシンプルで、お金に困っている人たちが、デスゲームに参加して、優勝者は456億ウォン(45億円)をもらえる、というものです。

なぜ「イカ」か、というと。
子供たちが地面にイカの絵を描いて、その上で陣地取りゲームをして遊ぶという、韓国では有名なゲームが「イカゲーム」と呼ばれるからだそうです。

日本では、というか、自分の子供時代にも似たような遊びがあり、自分たちは「エスケン」と呼んでいました。
Sの字を描き、ケンケン(片足ではねること)をして相手の陣地に侵入する…というゲームでした。
たぶん日本全国で似たような遊びはあり、それぞれで名前は違うのかもしれません。

何にせよ韓国ではイカゲーム。
すなわちこのデスゲームでは、子供のころの遊びが再現され、大人たちが全力でそれをプレイする、という流れになっています。

そして見てましたところ、非常に面白かったので、何より言いたい感想を述べさせて頂きます。

こちらネタバレを含みますので、まだ見てない方や、「今見ないけど、いつか見るかも」という方は見ないようにしていただければ幸いです。

 

 

 

大丈夫でしょうか。

さて、このイカゲーム。

色々なゲームがあるんですが、どうしても言いたいことがあるゲームがありまして、今回はそれについて話させていただきます。

◆ 飛び石渡りゲーム

それこそが5番目のゲーム。
「飛び石渡りゲーム」です。

 

参加者たちが高い場所にある橋を渡っていき、ゴールまでつけばクリア、失敗すると落下して痛い、というゲームです。
いや、痛いっていうか、死にますね。デスゲームですからね。

ここまで話すと、日本の有名ギャンブルマンガ「カイジ」に出てくる、鉄骨渡りを思い出すかもしれません。

ただ、ほぼ肉体勝負(まぁ精神削られるんですけど)だったそちらに比べて、こちらは一段、ギャンブルっぽく、ゲームっぽくなっています。

◆ 1/2の確率を18回。

このゲームには、18枚の「普通のガラス」と18枚の「強化ガラス」がでてきます。
そして参加者は、一歩ごとに、右か左か、選んで進んでいかなくてはなりません。

そして右と左には、ランダムに普通のガラスと強化ガラスが配置されており、普通のガラスを踏むと、割れて落下してしまいます。
すなわち1/2の確率を18回クリアしないと、ゴールまでたどりつけない…というゲームです。

いやこれ、言うまでもなく、不可能です。
サイコロで、18回連続、偶数を出せ、みたいなものです。ムリ。

しかし、攻略法があります。

それこそが「前の人が落下することで、残った方が強化ガラスだと分かる」というもの。

そうです。
最初に行った人たちは、まさにイケニエです。

 

最初に行っちゃった人は、めっちゃ急かされて死にます。かわいそう。

こちらは3枚目まで消費された(残り15枚の)状態でスタートすることになった参加者。

残り15枚でもこの確率です。切ない。

とにかく後からスタートした方が絶対有利です。

ただ、「16分という制限時間があり、あまりに遅くなりすぎると時間オーバーで失格」というルールもあります。

実際に一人一人が、毎回、自分が先頭になるたびに「ううう…!」と迷いはじめます。
そりゃ生死がかかってるから当然ですね。
それで時間が削られていくため、確かにラストの人は間に合わない可能性がありそうです。

すなわち「最初に行くと高確率に死ぬけど、あまりに後になるのも危ない」ということになります。

では一体、何番目にスタートするのがベストなのでしょうか。

◆ 全力で確率計算してみた。

ここから先、理系の方とか、数学が好きな方以外は、次の「確率の結論」の見出しまで読み飛ばして構いません。

細かい計算式を話す前に、まず感覚的な話をします。

まず、最初にスタートした人が、たとえ1枚目で落ちたとしても、次の人は、大丈夫な方が分かるため、2枚目からスタートできます。

すなわち、最悪に運が悪い場合でも、1枚は消費してくれるわけです。

では前の人の運が良く、1/2の確率をクリアした場合はどうでしょうか。
このとき、2枚目でも同じく1/2の確率になりますが、ここで落ちても、次の人は3枚目からスタートできます。
もしラッキーなことに、最初の人が2枚目もクリアできたら、3枚目にもチャレンジできますので、次の人は4枚目からスタートできることが確定です。さらに最初の人が3枚目もクリアできたら…

など無限に想像は続けられますが、そこまで来ると確率が非常に少なくなります。

そう考えると、だいたい平均して、1人が何枚消費してくれるか? ということが計算できます。
これを数学では「期待値」と言います。

ではこの場合の期待値はどれくらいでしょうか。

今回ですと、一人が消費できる枚数の期待値は、
1×1/2 + 2×(1/2)の2乗 + 3×(1/2)の3乗 …
となります。重ねてこのあたり、理系の方以外、読み飛ばして構いません。

これは数学的にかなり面倒くさいことになるのですが、このような公式があります。

ここで今回は、r=1/2 のため、答えは「2」になります。
(ただ最高記録でも18枚という上限があるため、実際は「2より少し小さい」くらいになるはずです)

◆ 確率の結論

すなわち「一人の人は、だいたい2枚は消費してくれる」「次に行く人は、3枚目からスタートできる」ということが「期待できる」ということになります。

もちろん1枚で死ぬ人が連続する場合もありますし、逆に3枚4枚まで行けちゃうラッキーな人もいるので、で「絶対!」とは言えません。
ただ平均するとそうなる、と考えてください。

すると18枚あるため、18/2で、「9」。

すなわち9人いれば18枚は消費してくれることが期待できるため、
「10番目」に出るのがベストということになります。

11番目、12番目と、後になると、より安全になるわけですが、今度は時間に間に合わない可能性もでてきます。
まぁ自分だったら、念のため12番目くらいに出るかもしれません。うん。

では実際のゲーム結果を振り返ってみましょう。

まず途中、一人の女性が、憎んだ男を抱きしめて、次のガラスに倒れ込むことで自殺します。(すなわち一人分の期待値をフイにした)

悲しいシーン。
愛のウラ返しですね。愛していたからこそ、絶望も深かったのでしょう。

また一人の男が「前の男が進んだ道を忘れる」という失態を犯して死んだため、これもまた期待値から外れたとしてカウントしないことにしましょう。

一番忘れちゃいけないことを忘れた人。いやでも気持ち分かる。

すると二人分を引いて、残るは14人になります。

ちなみに途中、「別の人に強引に押されてガラスを踏んでしまう」というイベントが出てくるのですが、それもまぁ、結果は同じです。自分の意志だろうが押されようが、確率は一緒です。
いかにも自分で選んだ方が勝てそう、と思うのは心理学的な錯覚です。

くわえてラスト近く。
残りガラスが3枚になった時点で、残る人間が4人になり、「ガラス職人だった」という男が先頭になります。
そして二回にわたって、強化ガラスかどうかを判定します。すごい。チートです。

ただ、主催者はそれに気づき、電気を落として、判定できなくさせていました。すなわちラスト1枚は完全に運です。

かわいそう。

ただ残りガラス1枚ですし、人間は4人います。余裕です。
ガラス職人の男は悲しいことに落ちてしまいますが、残り3人はクリアできた…という結果になります。

ですのであらためて考えてみますと、
「ガラス職人が実力で判明させたガラスが2枚」
=実質、運でチャレンジすべきガラスは18-2で16枚。
となると期待値的には2で割って、「8人が死ぬ」だけで済みます。

すると生き残りは16-8=8人。
ただ先ほど2名がムダに死んでしまったので、「6人生き残る」というのが期待される結果です。

でも実際に生き残ったのは3人だけでした。

すなわち彼らの運は相当悪い、ということが分かります。

 

ちなみに先ほど、男を道連れにして死んだ女。

二人で強引にガラスに倒れ込むことで、そのガラス共々落下したわけですが、あれが1/2の確率で強化ガラスだった場合、どうしてたんでしょう。

あれだけ悲壮な雰囲気で倒れて、
「ゴチーン! 痛ー! 強化ガラスだったー!」
みたいになってたら、その後の雰囲気が気まずすぎる、と思いました。

また原点に戻るのですが、そもそもこの橋のゲーム、スタートする順番を自分たちで決められるのですが、その時点で彼らはゲーム内容を知りませんでした。

いやいやいや。
そうなるとこれもうホント、運だろ、と。

すなわち期待値的には10番目以降に出るのがベストだと計算できても、それ以降を選べたかは、完全に運。

それってもう純粋なくじ引きと大差なくなっちゃうんでは、と思いました。

ちなみに最初に行った人は、消極的だった自分を変えたい、という前向きな理由で一番を選んでいました。
その結果がアレですから、切なすぎます。

さらに、あらためて思うのですが。
ガラス職人が電気を落とされて、判定できなくされたイベント。

いやいや、それこそヒドイ、と。
ガラス判定も実力ではないかと。

足腰が強いとか、頭がいいとか、そういうのと同レベルの実力や能力ではないか、と。
何でそれだけ禁じられるのか分かりません。

特にガラス職人の方が、ギャンブルやゲームでトクするチャンスなんてそうそうないでしょうから、まさに千載一遇の運の良さ。
それが否定されちゃうのが、あまりにかわいそうです。

◆ 結論

というわけでイカゲームの結論をまとめます。

・参加者は総じて運が悪かった。
・特にガラス職人はかわいそうすぎた。

これが自分なりに抱いた感想です。

この結果が人生に役立つことはないと思いますが、みなさんがいつか飛び石渡りゲームにチャレンジする際は思いだしていただければ幸いです。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)

官越いやし|ゆうメンタルクリニック心療内科・精神科

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特別監修・ゆうきゆう
精神科医、心理学者。
東京大学医学部医学科を卒業後、うつ病・統合失調症・てんかん・パニック障害・社交不安障害・不眠症など多くの疾患の治療を行い、2008年よりゆうメンタルクリニックを開院。
『マンガで分かる心療内科』の他、100冊以上の著作があります。

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