外国人と英語でケンカした話。

こんにちは。ゆうきゆうです。

以前にある本を読んでいたら、あるセールスマンが、英語の教材を売るために、こう言うシーンがありました。

あなたは英語で口論ができますか!?
これからの国際社会を乗り切るためには、
そのレベルの英語力を身につけなければいけない!」

で、彼はその文句で、実際にたくさんの売り上げていた、という内容でした。

これを読んで自分自身、「なるほど」と思いました。

確かに我々日本人にとって、英語をしゃべるというのは結構ハードです。

あいさつや日常会話をするので精一杯で、それこそ

「ちょっと待て! その言い方はおかしいだろう!
自分はこう思っている!」

みたいな口論となると、なかなかレベルが高く、やりづらいはずです。

そもそも日本語ですら大変なことですからね。口論。

いえもちろん、思いのままに罵倒する、だけならまだ簡単かもしれませんけども、
「ちゃんと相手の言葉にたいして反論し、必要ならば相手の追加主張も聞いてそれに対応した言葉をさらに続ける」

などになると、もうかなりお手上げです。

口論、とてもレベルが高いです。

当時の自分自身も、どれだけ英語を学んでも、口論をすることなんてないだろう…。
そう思っていました。

しかし。

つい最近、その時が来たのです。

なんと自分自身、英語で口論というか、口ゲンカをすることになってしまったのです。

それは日課のように行っている、オンライン英会話のときです。

実際、オンライン英会話では、先生の評価がありまして。
生徒がレッスン修了後、★1~★5で評価します。

そしてその平均値が表示されています。

その結果、★5や★4.9みたいな超人気の先生もいれば、★3台の人気のない先生もいます。

で、今まで900回以上受けて来た経験上、この評価って結構正確です。

正確に、その先生の「教え方」や「人柄」を表してる気がします。

★が多ければ多いほど、すごくソフトで優しく、話を盛り上げるように聞いてくれます。
また指導なども非常に的確です。

ただ★が少ないほど、ぶっきらぼうで、冷たい雰囲気の人が増えます。

★が低いのも納得と言いますか。

ですので基本的に★が多い先生のレッスンを優先的に受けているわけです。

ただ、あるときに選んだ先生は、結構な「地雷」でした。
年配の女性の先生で、★4前後だったのでアリかな、と思ったのですが、想像と少し違いました。いや、かなり違いました。

そもそも自分が何を話しても、あいづち一つありません。

たとえば、

先生「海外旅行の思い出はありますか?」(規定の質問)

自分「はい、たくさんあります! たとえば、バンジージャンプをしたことがあります!」

先生「へぇ。じゃあ次の質問」

みたいな感じです。

いやいやいや! もう少し膨らませてくださいよ! 聞いてくださいよ!

これが他の先生なら、

自分「たとえば、バンジージャンプをしたことがあります」

先生「えええ!? どうでした!? 怖くなかったですか!?」

みたいな感じです。
いえ教師ゆえの接待だと思うんですけど、会話ってそうやって盛り上がっていくんだと思うんですよ!
この繰り返しで英語を話すのが楽しくなって、英語力が身につくというか!

それがその先生、もう何を言っても

先生「へぇ。じゃあ次の質問

です。

え、これ、なんかスピーカーで良くない?
Siriの方がまだしゃべらない?

そんな風に思いました。いや本気で。

それでもラスト近くまで耐えていましたが、最後の方で、こんなやりとりがありました。

先生「スポーツはしますか?」(やっぱり規定の質問)

自分「スポーツですか…。少し前からジムで運動しています」

これにたいして、先生は言いました。

先生「それはスポーツじゃない。じゃあ次の質問」

………。

はいいいいい!?

はじめて「へぇ」以外の返答をしたと思ったらコレですか!?
全否定ですか!?

先生「次の質問。あなたは…」

あまりの状況に、自分の溜まっていた色々が、止められないほどに噴き出そうです。

ただ怒りのままにギャーギャー叫ぶわけにはいきません。

怒りのようなネガティブな感情は認めつつも、それを冷静に表現しなくては。
いわゆる「アンガー・コントロール」ができなくては。

そう思いつつも、でも、英語でうまく反論できるのか…?
口論できるのか…? この思いを伝えられるのか…?

そんな不安はあります。
ただ、何もなかったようにこのまま会話をつづけても(いや会話って言うのか謎ですが)、あとから絶対に後悔しそうでした。

ですので、とりあえず言いました。

自分「少し待って(Wait a moment)

先生「…?」

もう、言うしかありません。

自分「ジムの運動は…」

先生「?」

自分「スポーツじゃないんですか?」

言った!
言いました!
言ってやりました!

何が重要かって、こうして口火を切れば、もうこの方向で会話をつづけざるを得ない、ということです。
最初だけはエネルギーが必要ですが、あとはその路線で進んでいけば、エンドレスに大変ではないはずです。たぶん。

そう思いつつも不安はあります。
先生は自分の言葉に、言いました。

先生「……スポーツじゃない

自分「何でですか? 体を動かすという意味では一緒ですよね!? まったく同じではないかもしれませんけど、近いじゃないですか!?」

このあたり、実際は英語としてものすごくシンプルな表現しかしてませんでした。

「If it’s not same , but it’s similar!」

みたいな。
ただ表現はどうであっても、主張を伝えられればいい、という感じです。

すると先生も反論されると思ってなかったのか、多少うろたえながら言いました。

先生「…スポーツは競うものよ」

自分「ジムでの運動だって、体を鍛えたコンテストなどもありますし、競うものでもありますよね!?」

先生「……」

負けるわけには行きません。

先生「…スポーツなら、オリンピックの競技になっている…」

自分「いやいやいや! 何その基準! オリンピックの競技になってないスポーツだってありますし!」

先生「……」

自分「それにオリンピックに重量挙げってありますよね! ジムの運動でバーベルを持ち上げることもありますよ!」

先生「……」

まぁ、口論に審判なんて存在しませんからね。
どっちが勝ちか負けか、とかありません。

ただ先生はついに、言いました。

先生「…分かった。じゃあジムの運動はスポーツでいい

もうね、たぶんトークが面倒くさくなったんだと思います。
うるさい人、と思ったかもしれません。

でも、結果的にはOKです。

本当はもっと色々言いたかったんです。

そもそも他の先生なら、たとえスポーツではないと感じたとしても
『へぇ! ジムの運動してるんですね? いつから? どう変わりました?』
なんて膨らませてくれるはずです。

何より「スポーツ」なんてのは質問のキッカケに過ぎません。
別に我々、スポーツの正確な議論をしなくてはならないとか、そんな義務はないわけで。
結局、楽しく会話をすることで、結果として英語力が鍛えられる…これこそが最大の目標なはずですから。

このあたりのことも主張したかったのですが、まぁ、もういいかな、と。

それ以前に制限時間も来てましたので。

結局、はじめての英語口論は、そのような形で幕を閉じました。

とりあえず気持ちとしてはとてもスッキリはしています。
重ねて何も言わなかったら、モヤモヤをいまだに持ち越すところでした。

というわけで、
「え、これはちょっとおかしい」
と思ったときに、反論したくなることがあると思います。

そんなときは、とにかく「あの」でも「すみません」でもいいので、ちょっとした口火を切るセリフを伝えること。

最初の労力はできるかぎり小さく始めましょう。

ただ重ねて、口火さえ切れば、あとの話は続けやすくなります。
小さくとも偉大な一歩になるはずです。

最初から「気持ちを何て表現しよう、うまい言葉を全文考えてから…」なんて思っていると、何も言えなくなってしまいます。

まずは小さく。
そう覚えておきましょう。

ちなみにその先生、その状況にも関わらず、なんで★4はあったのか考えたのですが。

よくよく思い出せば、自分自身、英語で口論ができたってすごい自信につながってますし、何より英語力を鍛える結果になってますし。

「楽しさ」は会話を盛り上げますが、「怒り」も会話を盛り上げるのかもしれません。(もちろん冷静に話した前提で)

もしかしてこの先生は、そんな口論をキッカケに生徒たちを成長させてくれる、素晴らしい先生だったのかもしれません。

昔のドラマで、教師が憎まれ役になって生徒を成長させるみたいな。

そういう意味で、みんなそこまで体験した上で高評価をつけていた可能性があります。

………。

うん。ないな。

自分の結論を一刀両断にしつつ、みなさまがいつか英語で口論したくなったときの参考になれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)

官越いやし|ゆうメンタルクリニック心療内科・精神科

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特別監修・ゆうきゆう
精神科医、心理学者。
東京大学医学部医学科を卒業後、うつ病・統合失調症・てんかん・パニック障害・社交不安障害・不眠症など多くの疾患の治療を行い、2008年よりゆうメンタルクリニックを開院。
『マンガで分かる心療内科』の他、100冊以上の著作があります。

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