仮想世界でバンジージャンプした話

◆ VRバンジージャンプの話

こんにちは。ゆうきゆうです。
最近「VRバンジージャンプ」というものを体験してきました。

いわゆるVRことバーチャルリアリティの世界で、バンジージャンプをやる、という体験です。
自分自身、バンジージャンプは大好きです。

今までに日本国内、また世界中で、7~8回は飛んできました。
旅先にバンジージャンプという言葉があると、ほぼ必ず飛ぶという、一種の病気のような状態です。

特に高いところが好き、というわけではありません。どっちかというと恐怖です。

しかし、だからこそ落下にゾクゾクを感じるというか。
そんな状態です。

何にせよ、そんな自分がこの「VRバンジージャンプ」に飛びつかないわけがありません。

体験は、まずゴーグルを頭に装着します。
これはすべてのVRで共通だと思います。

そして硬いハンモックをタテにしたような装置に、体を固定します。

この装置、ちょうど腰のところで、ぐるんと回転するようになっています。
そしてVR装置が「落下する」のにあわせて、係員さんが、手動で人間を回転させてくれます。

すると頭が、地面スレスレまでストンと前に回転して落ちるため、体験している人間にとっては、
「前向きに落ちた」
のを疑似体験できる、というわけです。

何ていうか、高度な技術と、アナログな手動技術のミスマッチが面白いな、と思いました。

そして実際に体験してみました。

映像は、まず高いところに立ち、そこから周囲を見渡す状態から始まります。
さすがにそこはVR。顔を向けた方向の映像がリアルに見えます。

そして地面を見ると、確かに「高い!」という感覚があります。

そこから「3,2,1…!」の掛け声とともに、飛び降ります。

同時に体も落ちる感覚があります。もちろん、係員さんが手動で回転させてくれたからです。

このとき、結構なギャラリーがいたんですが、周囲から「あははは」という歓声がしました。
手動でぐるんと回転させられている状態が面白いんだと思います。
そしてしばらくすると、やはり係員さんによって元の状態に戻され、体験終了です。

◆ 終わってみて。

さて、終わってみて感じたのですが。
やはりバーチャルの限界はありました。

具体的に、飛び降りる直前。
高いところから、はるか下にある地面を見る瞬間です。

実際のバンジージャンプであれば、ものすごい恐怖が湧き上がります。

「うっわぁ…! これ死ぬ…! 死んじゃう…! なんでこんなところにいるんだ僕は…!
これもう人生終わりだ…! あああああ…」

そんな絶望感です。
いえ、あえて言葉にするとこんな感じなんですが、実際の現場では

「ヒイイイイイアアアアアア…!」

という、言葉にならない感覚に包まれたような状態です。

そしてそのまま、飛び込みます。
もうその瞬間は、なおさら言葉にならない。
「うあ、うあ……うああああああ!」
という感情とともに、気づくとゴムに救われて、なんとか地面に着地させてもらう、という感じです。

しかし実際、今回のVRバンジージャンプでは、そこまでの感覚はありません。

高いところから地面を見る、というその(映像の)瞬間でさえも

「わー、高いなー」

くらいな感情です。
そのため落ちるときも、非常に落ち着いています。

やはりどんなにリアルでも「これはバーチャルだ」と分かっているからだと思います。
または「視覚情報」だけのため、リアル感を抱かないのかもしれません。

◆ 興奮する虫、しない虫。

実際に、子供たちの脳波を測定しつつ「リアルな昆虫」を見せた場合、脳はとてつもなく反応します。

「怖い!」「かわいい!」「つかまえたい!」

など内容は様々ですが、それぞれに生きた感情が生まれるわけです。

しかし、どんなに高精細の画面であっても、「昆虫の映像」を見せた場合、脳はそこまで反応しません。
「映像はしょせん映像」ということが分かり、冷静になってしまうのです。

どんなにリアルでも、本物や実体験にはかなわない、というわけです。

何にせよ、「VRバンジージャンプ」を通じて「やっぱり本当の崖から飛び降りたい」と強く思った次第です。

その悟りは悟りでどうなんだ、と思いながらも、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)

官越いやし|ゆうメンタルクリニック心療内科・精神科

ゆうメンタルクリニックは、診察を『24時間・365日』受け付けております!
どんなお悩みも、お気軽にご相談ください。


診察を申し込む

こちらのお申し込みはご希望のお時間を確約するものではありません。
混雑具合によってはお時間ずれ込む可能性もありますので、余裕をもってお越し下さい。

オンラインカウンセリング【iカウンセラー】お近くにメンタルクリニックがなくても、自宅から安心してカウンセリング!深夜2時まで受けられる!あなたの「つらい」を経験豊富なカウンセラーがしっかりケア
監修・制作

このページは、ゆうメンタルクリニックの医師・スタッフが監修・制作しております。

特別監修・ゆうきゆう
精神科医、心理学者。
東京大学医学部医学科を卒業後、うつ病・統合失調症・てんかん・パニック障害・社交不安障害・不眠症など多くの疾患の治療を行い、2008年よりゆうメンタルクリニックを開院。
『マンガで分かる心療内科』の他、100冊以上の著作があります。

ゆうきゆうプロフィール

運営
取材依頼専用フォーム」よりご連絡ください。
連絡先専用フォーム」よりご連絡ください。