「悪いクセ」をやめる究極の心理学技術

さて、皆さんはやめたいこと、変えたい習慣などはありますか。
精神科医をしていると特に、「依存的な行為をやめたい」というご相談をよくいただきます。
今回は、「やめたいことをやめる」ための、とてもシンプルな方法をお教えします。

悪いクセには快感がある!?

どうしても誘惑があるとき、ただ単純にやめるのは、とても難しいことです。
なぜなら「やめたくてもやめられない」ことには快感があるからです。

たとえばタバコやお酒、ネット、スマホ、ゲーム、ひいては貧乏ゆすりや体をかくこと…。
このようなクセ・依存行為などは、行うことにより必ず快感が生じます。

快感をただ気持ちによって止めるのは、なかなか難しいことです。
もしやめたいのであれば、「クセを行う快感」に対抗するような快感を設定するということが非常に重要になります。

具体的には「自分をほめてあげること」が一つです。
たとえば、その行為をグッとガマンできたときに
「やらなかった!えらい自分!」
というようにほめてあげるのです。

するとこれは、一つの快感になります。
よって、より行為をやめる方向に傾く可能性が高くなります。

大切なのは「楽しみ」と「喜び」

しかし、自分をほめるだけだと、まだ弱いかもしれません。

ここでさらにオススメなのが「自分にごほうびをあげる」ことです。
マンガを読んでいい、好きなお菓子を食べていい…など何でもかまいません。
ごほうびの喜びや楽しみは、悪いクセの快感にも勝つことができます。

しかし、すぐにごほうび…とやっていると、ガマンするたびにごほうびをあげないといけなくなってしまいます。
そのため、5、10といった少ない数で「ガマンできた回数を数える」というのが効果的です。

たとえば「頭をかく」というクセをやめたいとします。
「5回かくのをこらえることができたら、飲み物を飲みに行ってもいい」
というように、ガマンする数を設定してみましょう。

数を30、40とか大きい数で設定してしまうと、途中で忘れてしまったり、飽きてしまったりします。
5回くらいの細やかな数で一回やってみて、ごほうびをあげてその回は終わりにしましょう。

そしてまた頭をかきたくなってきた…というときにまた5回のカウントを開始し、
「できたら今度は~をしていい」というように自分の中で決めます。
こまめにごぼうびを用意することによって、自分自身の行動に「小さい快感を得るステージ」を設定することができます。

よってガマンに終わりがあるのを感じられるため、より取り組みやすくなります。
ぜひ少ない数でガマンを数え、自分にごほうびをあげてみてください。

人間というのは、罰ばかりだと疲れてしまいます。
ちょっとした楽しみや喜びを用意し、人生を一つ一つゲームのように楽しんでいきましょう。

というわけで、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)

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官越いやし|ゆうメンタルクリニック心療内科・精神科

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特別監修・ゆうきゆう
精神科医、心理学者。
東京大学医学部医学科を卒業後、うつ病・統合失調症・てんかん・パニック障害・社交不安障害・不眠症など多くの疾患の治療を行い、2008年よりゆうメンタルクリニックを開院。
『マンガで分かる心療内科』の他、100冊以上の著作があります。

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