マスク非着用を注意されて暴力!この悲劇から学べる人間心理とは

女医ちゃん 注意 反論 悲劇 ゆうきゆう コラム

さて、コロナウイルスの流行が深刻になっていた2020年5月31日に、次のような事件がありました。

これは65歳の男性が、マスクをしていない25歳の男性に「マスクを付けろよ」と注意したことから始まりました。
25歳の男性は、注意された怒りのあまり暴力をふるい、65歳の男性が下半身不随になってしまったのです。

このニュースを、皆さんどう思いますか?

当然暴力はいけません。
ではなぜ、彼は「暴力」という選択を取ってしまったのでしょうか。

ポイントは「反論」できるか

25歳の男性が暴力に走ってしまった理由について追求するならば
「反論できなかったから」だと考えられます。

人間の行動において、反論できないとき暴力を行ってしまうのは、一つの流れとしてありえます。

例えば赤い服を着ている人が
「お前、赤い服着るなよ!」
と通りすがりの人に言われたら
「なぜ?赤い服を着ても別に良いじゃないか!」
言い返せるはずです。

もしくは野菜を食べていない人が
「野菜食べろよ」
と言われたとしても
「いや、俺は野菜がキライなんだよ」
いくらでも反論できます。

このように、大抵のことは反論できるものです。
しかし、マスクをしてない人に
「マスク付けろよ」
と言ったときは、どうでしょうか。
「俺はマスクをしなくてもいいんだよ」
言い返すのはなかなか難しいものです。

もちろん
「コロナはマスクでも防げないだろうから」
「俺はコロナを信じてないから」
というような反論は、もちろんゼロではありません。
しかし、非常に説得力が弱くなってしまいます。

「皆の迷惑になるからマスクを付けろ」
と言われたとしたら
「いや迷惑なんかどうでも良いんだよ」
という自己中心的な発言は、なかなか反論にならないものです。

ですので今回の25歳の男性としては、本当に反論できない状態になってしまったのでしょう。
反論できないことを言われてモヤモヤがたまってしまった結果、暴力に走ってしまった、と考えられます。

このような事件は、昔から本当にたくさんあります。
例えばタバコを吸っている人に
「ここでタバコを吸うな!マナー違反だ」
と注意すると
「何だと!」
と注意された方が腹を立てるというニュースは、これまでもよくありました。

ここで腹が立ったり、暴力につながってしまう原因は「マナーで注意されたら反論できないから」です。

一片でも反論ができるのであれば、人間はまず反論します。
なぜならそれは、暴力はいけないと分かっているからです。

でも本当に反論できないことを言われたり、もしくは考えを言葉にするのが苦手な人だったりすると、反論できずに暴力という手段を取ってしまうのです。

原始時代では、すべてを解決するのは暴力でした。
人間の最も原始的な本能には、暴力で対処してしまう部分があるのです。
何も反論できなかったとき、現代人でもその本能が出てしまうのではないでしょうか。

安全に「注意」をする方法!

今回のニュースから学ぶべきことは、マナーに関して「相手に注意する」という行為は、気をつけて行うべきということです。

マナーについて厳しく注意すると、反論がほぼできないため、相手は恥をかいてしまいます。
そして人によっては、暴力に走ってしまう場合もあります。
もしこれが身近な人が相手だとすると、暴力に走らないにしても、ストレスがたまって人間関係が壊れてしまうこともありえます。
よって、お互いの安全や人間関係を保てる注意をする必要があります。

具体的には、マナーやルールについて言及するのをやめることです。
たとえばタバコを吸っている人にやめてほしいなら
「ノドの調子が悪いので、今だけタバコを控えてもらえますか?」
「ちょっと子供が今、風邪を引いているので」

などと言うと、相手も注意を受け入れやすくなります。

何か理由づけをしながら、「自分個人のお願い」という形で言うのが大変有効です。

もし今回のようなマスクに対して言うのであれば
「ちょっと自分の体調が悪いので、マスクを付けてもらえますか?」
という言い方が良いでしょう。
それでも、マスクを持っていない人も中にはいるでしょう。
そういうときは、相手と距離を取ることです。

マナーを注意するのは、本当に難しいことです。
相手の行動をもし変えたいと思うのであれば、「自分側の理由」を伝え、そして「やらないでほしい」とお願いするのが一番効果的です。

それでも行動を変えるのが困難な場合もあるでしょう。
そのときは、相手から離れることが、一番お互いにとって安全です。

少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)

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特別監修・ゆうきゆう
精神科医、心理学者。
東京大学医学部医学科を卒業後、うつ病・統合失調症・てんかん・パニック障害・社交不安障害・不眠症など多くの疾患の治療を行い、2008年よりゆうメンタルクリニックを開院。
『マンガで分かる心療内科』の他、100冊以上の著作があります。

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