あおり運転をやめさせる心理学的な方法とは!? ~女医が教える心理学

あおり運転をやめさせる心理学的な方法とは!? ~女医が教える心理学

さて、少し前にこんなご質問をいただきました。

「父親のあおり運転をやめさせる方法というので何か提案はありませんでしょうか。犯罪になってしまうように法律に定められているにもかかわらず、昔から車の運転の悪い癖が直らないようです」

ということで、ご質問・ご相談ありがとうございます。
結構スピードを出したり、前の車に近づいたり、という行動が多いという理解で良いでしょうか。

まず一番に思うのは、他人を変えるというのはなかなか難しいということです。

他人の課題と、自分の課題は分けて考えるべし!

例えば太っている人がいたとして、「お前痩せなよ」と言って、その人を痩せさせるというのは、自分自身が太っていて痩せるよりずっと難しいことだと考えます。

自分で何かを気付いて変えることですら難しいことであるにもかかわらず、他人を変えるというのはなおさら難しいことです。

ちなみにアドラー心理学には「課題の分離」という考え方があります。
「他の人の課題は他の人の課題だ、自分の課題は自分の課題と分けて考えろ。他の人の課題をしょい込むな」という話があるのですが、その考え方で言うと、お父様のあおり運転をご自身の力で変えるというのは非常に難しいことです。

ですので、一番シンプルな方法は「一緒に乗らない」ということです。

例えばあおり運転で事故になった、前の人とトラブルになった、というような嫌なことがあったりすると、それで反省・学習してあおり運転をやめるかもしれないですよね。これを期待して、一旦は離れてみてもいいんじゃないでしょうか。
問題さえ起こらなければマナーの点は別として、しょうがないんじゃないのと放っておくということもできるかなと思います。

他人を変えるために有効なのは「命令」ではなく「感情の吐露」

「あおり運転が怖いから乗らない」とすれば、ご本人様が乗らないということでお父さんが寂しく思い、もしかすると運転を少しは変えられるかもしれません。

それでも必要に応じて乗らなければいけない場合はどうしたら良いのかですけれども、例えばあおり運転する度に「怖い怖い」と、怖いという自分の素直な感情を語るのが一番かなと考えます。

「やめて」という強制に対して人間は反発したくなりますが、素直な感情の吐露というか、怖い、悲しいというものに対しては、「変えなきゃいけないな」とより人を動かす力があります。

ですので、命令や頼み事よりは感情を素直に表現してみましょう
「お父さんおかしいよ」ではなく「私は怖い」という形で伝えていただくのが一番良いのではないかと思います。

少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)

音声で聞きたい方はこちらから「あおり運転をやめさせる、心理学的な方法とは!?

官越いやし|ゆうメンタルクリニック心療内科・精神科

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特別監修・ゆうきゆう
精神科医、心理学者。
東京大学医学部医学科を卒業後、うつ病・統合失調症・てんかん・パニック障害・社交不安障害・不眠症など多くの疾患の治療を行い、2008年よりゆうメンタルクリニックを開院。
『マンガで分かる心療内科』の他、100冊以上の著作があります。

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